鍼灸の実技:第1節 鍼管

鍼灸の実技:序・目次


第I章 はりの実技


第1節 鍼管


 はりの実技を行うには、現今一般的には管鍼法によっているので、ぜひとも鍼管を使わねばならぬ。

1.管捌き(挿管法)

 鍼を鍼管に挿入することを、管捌き又は菅取りといったものである。これには片手でのみ挿入する方法と、両手を使って挿入する2方法がある。

 ①双手挿管法:これは両手を使って鍼を鍼管に挿入する方法である。多く初学者や練習未熟なものの行う挿管法である。その方法は鍼柄の頭(竜頭の上)を鍼管口に入れ、他端を刺手の拇指と示指でこれをうけ、鍼尖が鍼管の口から出ぬようにして、鍼柄頭及び鍼管口を同時に撮み固定する方法である。

 ②隻手挿管法:これは片手のみで鍼を鍼管に挿入する方法である。幼学の者はなかなか片手のみでは挿入できないものであるが、練習すれば誰にでもできる。その要領は鍼柄を刺手の拇指と示指で撮み、掌中にある鍼管の一端から鍼柄を挿し込むのであるが、このときの要領は、拇指と示指とで撮んだ鍼柄頭を鍼管口より指尖の方に置くこと、鍼柄頭を導入するとき、鍼管の外側をすり上げるようにして、鍼柄頭が鍼管のロに当ったならば、引力を応用して、鍼が鍼管筒内に落下するようにし、次に鍼管を水平にして、鍼尖が鍼管ロから出ぬようにしたならば、手を横にし、鍼を移動しないように、注意しながら、示指と中指で鍼管を廻転させながら、鍼柄の方の鍼管を拇指と示指で撮むのである。このときも、鍼尖が鍼管ロから出ていないように注意せねばならない。でていないならば鍼管と鍼柄を同時に拇指と示指で撮み固定するのである。こうすると鍼も落ちないし、不用意に出ている鍼管ロの鍼尖で刺鍼点を刺し、刺痛を与える心配もない。

片手挿管法



(1)右手の中・環・小指で鍼管の端を握り、他端を示指腹のところにあらしめる。次肛示指と拇指で鍼柄を撮む、この際鍼柄の頭を持たぬよう、二分位出して撮む。



(2)二分位出ている鍼柄頭を斜めに鍼管にはめる、この時鍼管の外側を鍼柄頭ですべらせるようにすればはまる。



(3)はまったら斜めを真直ぐにして鍼菅を立てる。拇、示指で鍼柄を撮んでいたのを離すと鍼柄の重さで、鍼は管中に入る。入つても鍼突が出ているから、今度は手を横にする。



(4)鍼を動かさぬようにして、示指と中指で鍼管を廻転させながら鍼柄の入っている鍼管端を示指腹の上にあるようにし、少し斜めに下げると鍼柄頭が出る。そこで拇、示指で鍼柄と鍼管口とを同時に撮む。



 河井貞昇氏は《鍼科全書》で「古来拙術《隻手挿管法》について論じたるものなれども、もしこの術に熟達せざるときは、徒らに無益の時間を拙術の評をまぬがれず、故に余この術最も必要となす、余この術の改革を企てて一手をもって、この術をなし得ることを発明せり、以来無益の時間と拙術の評をまぬかるるに到れり、これ鍼学上の一大面目を改めたりというべし、敢えて傲言ならんや」と記載してあるが、既に《杉山真伝流》では秘伝として子弟に伝えた方法である。

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